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Microsoft Copilot Studio「ハーネス」

Microsoft Copilot Studioで何かを作るとき、必ず裏側で動いているのが「ハーネス(harness)」という実行基盤です。今回はMicrosoft Learnの公式ドキュメント「Choose a harness」をベースに、3種類のハーネスの違いと選び方についてまとめます。

ハーネスとは何か

Copilot Studioでエージェントやワークフローを作るとき、あなたが設計するのは「何をするか」、選んだモデルが提供するのは「推論と生成」です。ここで言うCopilot Studio のハーネスとは、その間に立ち、いつモデルを呼ぶか、何を渡すか、返ってきた結果をどう解釈し、どのツールを呼び出すかを制御するランタイムがハーネスです。

つまり同じモデルを使っていても、どのハーネスの上で動くかによって「できること」「動き方」「課金のされ方」がまったく変わります。これがハーネス選びを軽視できない理由です。

そもそもこのハーネスの起源について学びたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

3つのハーネスの違い

Copilot Studioには現在、以下の3種類のハーネスがあります。

観点GitHub Copilotハーネス標準ハーネスCopilotチャットハーネス
得意分野複雑・多段階のビジネスプロセスルールベースのエージェント/構造化された会話M365 Copilot Chatを社内ナレッジで拡張
動き方ゴールを自律的に段階分解して推論あなたが定義したトピック・ルールに従う社内ナレッジをM365 Copilot Chatに接続
失敗時のリカバリー自動でリトライ・別ルートを模索作り込んだパスの範囲で動作想定外
ファイル操作Word/Excel/PowerPoint/PDFの作成・編集・読解が可能対象外対象外
スキル・メモリ対応対象外対象外
公開範囲社内/社外いずれも可社内/社外いずれも可社内のみ
課金方式Copilot Credits(使用量課金)ライセンス・課金体系(後述)従量課金 または M365 Copilotライセンスに内包

GitHub Copilotハーネス──最も高機能、複雑な業務プロセス向け

固定シナリオをなぞるだけでなく、ゴールを与えると自分でステップに分解し、コネクタ・ナレッジ・MCP・連携エージェントを横断してツールを呼び出し、途中で失敗しても代替ルートを探して調整します。Word/Excel/PowerPoint/PDFのネイティブな作成・編集、スキルやメモリにも対応し、Copilot Studioが管理するセキュアなサンドボックス内でタスクを実行します。

例えば「請求書を読み取り、発注書と突合し、差異があれば承認ルートへ回す」といった経理の承認プロセスのような、複数ツールをまたぐ多段階の業務自動化が得意分野です。

標準ハーネス──予測可能な動きが必要なルールベース業務向け

トピック・プロンプト・パスをあなた自身が定義し、決まったパターンの問い合わせに対して一貫した応答を返します。既存のプロンプトライブラリや企業ナレッジも活用可能です。

「よくある質問に答え、単純な依頼はワークフローへ振り分ける社内ヘルプデスク」のような、要件が明確でルール化しやすいシナリオに向いています。まさに、ヘルプデスク問い合わせアプリのような設計思想と親和性が高いハーネスです。

Copilotチャットハーネス──M365 Copilot Chatの拡張向け

企業のナレッジをMicrosoft 365 Copilot Chatに接続し、社員が普段使っているチャット体験を離れずに、自社コンテンツに基づいた回答を得られるようにします。SharePointのナレッジを使った社員オンボーディングの質問応答のような、「情報への接続」を主目的とするシナリオに適しています。公開範囲は社内チームに限定されます。

どう選ぶか

Power Automate も含めると以下のような判断軸で判定できます。

  • 定型フロー。分岐はあってもIFで判断可能。これはPower Automate のフロー
  • など長いタスクの推論、複数ツールの横断、ファイル操作、業務プロセスのend-to-end自動化が必要 → GitHub Copilotハーネス
  • シナリオが明確でルール化でき、一貫した予測可能な応答を優先したい → 標準ハーネス
  • 目的が「M365 Copilot Chatを自社ナレッジで拡張すること」そのもの → Copilotチャットハーネス

ライセンスについて

ハーネスによって課金方式が異なる点は要注意です。

  • GitHub Copilotハーネスで動くエージェント・ワークフロー → Copilot Creditsによる使用量課金
  • 標準ハーネスのエージェント・エージェントフロー → 別途定められたライセンス・課金体系
  • Copilotチャットハーネス → 従量課金、またはMicrosoft 365 Copilotユーザーサブスクリプションライセンスに内包

Copilot Creditsは、エージェントが情報取得・応答生成・アクション実行(ワークフローの実行、AI Toolsやカスタムスキルの呼び出しなど)に要する時間と処理量を測る共通の通貨で、従量課金メーター、事前購入プラン、Copilot Creditパックのサブスクリプションを通じて調達できます。また2025年9月1日以降、共通課金単位は「メッセージ」から「Copilot Credits」に変更されている点も、既存ユーザーは把握しておくとよいでしょう。

より詳細で最新のライセンス情報は、Microsoftが公開している「Microsoft Copilot Studio Licensing Guide」にまとまっています。以下のリンクからアクセスできます。

👉 aka.ms/MCSLic

このガイドには、Copilot Credit容量パックの購入単位、従量課金(Pay-As-You-Go)の仕組み、Copilot Credit事前購入プラン(CCCU)、コネクタの分類(標準/プレミアム/カスタム/オンプレミス)など、実際に導入・予算設計する際に必要な情報が網羅されています。ライセンス要件は製品条項(Product Terms)が正となるため、最終判断の際はMicrosoftアカウントチームまたは認定パートナーへの確認をおすすめします。

まとめ

ハーネス選びは「モデル選び」以上に、そのエージェントで何が実現できて、どう課金されるかを左右する重要な設計判断です。

  • 複雑な業務プロセスを自律的にこなしたい → GitHub Copilotハーネス(Copilot Credits課金)
  • ルールベースで予測可能な応答が欲しい → 標準ハーネス
  • M365 Copilot Chatを社内ナレッジで拡張したい → Copilotチャットハーネス

自分が作ろうとしているエージェントが「決まったシナリオをなぞるもの」なのか、「ゴールから自律的に組み立てるもの」なのかを最初に見極めることが、後戻りのないハーネス選択につながります。


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