目次
この記事のポイント
- Dataverse for Teams環境は廃止。2026年11月15日に新規作成が止まり、アップグレードしなければ2027年10月30日に廃止(デコミッション)されます。
- アンマネージドの開発者環境も廃止。2026年11月15日に新規作成が止まり、2026年12月15日に停止、2027年1月15日以降に削除が始まります。
- 回避策はどちらも「使い続けたいなら格上げする」こと。Teams環境はDataverse環境へアップグレード、開発者環境はマネージド環境化(または他環境へソリューション移行)です。
- ここで効いてくるのがライセンス。「無料で使えていた環境」から「ライセンスと容量が前提の環境」へ、という流れです。
- 先に迫るのは開発者環境(12月15日)。
早見表
最初にフローチャートで概要を確認
開発者環境の今後の対応フローチャート

Dataverse for Teams 環境の今後の対応フローチャート

1. まず全体のスケジュールを把握する
2つの変更は別々の話ですが、11月15日に「新規作成」が両方止まるところで重なります。
| 日付 | Dataverse for Teams環境 | アンマネージド開発者環境 |
|---|---|---|
| 2026/11/15 | 新規作成できなくなる | 新規作成できなくなる(Developer Planにサインアップしても環境が作られなくなる) |
| 2026/12/15 | (既存環境は動作継続) | 既存環境が停止(アプリ・フロー・エージェント・Power Pagesサイト・データにアクセス不可) |
| 2027/01/15 | (既存環境は動作継続) | 停止中の環境の削除が開始 |
| 2027/09/15 | アップグレードしていない環境が停止 | ― |
| 2027/10/30 | アップグレードしていない環境が廃止 | ― |
これを図解するとこのようになります。

2. Dataverse for Teams環境の廃止
何が起きるのか
Microsoft Teamsのチームにアプリやエージェントを作ると自動で作られていた「Dataverse for Teams環境」が非推奨になります。
なぜ廃止するのか
Dataverse for TeamsはDataverseの機能限定版です。たとえば次のような制約がありました。
- 1環境あたり2GBまでの容量
- APIで直接アクセスできない
- カスタムコネクタ、デスクトップフロー、AI Builderが使えない
Microsoftとしては、データ基盤をフル機能のDataverseに一本化して、作る人にも管理者にも、同じ機能・ガバナンス・ライフサイクル管理を提供したい、という方針です。なお、Dataverse環境で作ったアプリ・フロー・エージェントも、引き続きTeamsの中で使えます。
影響を受けるもの/受けないもの
影響を受ける
- アップグレードしないTeams環境内のアプリ、フロー、エージェント、データ
- 11月15日以降の「Teamsからの新規環境作成」(最初のアプリ/エージェント作成時や、Teamsアプリカタログからのインストール時を含む)
影響を受けない
- Teamsのチーム、チャネル、チャット、SharePointサイト、ファイル
- 2027年10月30日までにDataverseへアップグレードした環境
- Dataverse環境で作ってTeamsに追加したアプリ・フロー・エージェント
つまり「環境が消えてもチームは消えない」。消えるのはTeams環境の中に作った成果物とデータだけです。
「マネージド環境にしてください」ではなく「Dataverseにアップグレードしてください」
ここは誤解しやすいところです。Teams環境について公式が求めているのは「Dataverse環境へのアップグレード」です。アップグレード後に必要になるのは、次の2点として書かれています。
- 容量:テナントに、そのTeams環境のサイズ以上の空きDataverse容量があること。アップグレード後は、その環境の消費分がテナントのDataverse容量にカウントされます。
- ライセンス:アップグレード後、アプリ・フロー・エージェントを使うユーザーにはPower Apps、Power Automate、またはCopilot Studioのライセンスが必要になります。

アップグレードで何が変わるか
- アプリ・フロー・エージェント・データはそのまま引き継がれる
- アプリはTeamsの内外どちらでも動かせる
- 作成・編集の場所は Power Apps(make.powerapps.com)/Power Automate(make.powerautomate.com) に移る
- 環境のライフサイクルがチームと切り離される(チームを消しても環境は残る)
- チームのオーナーは環境のシステム管理者ロールになる
アップグレードできるのはテナント管理者(Power Platform管理者など)で、Power Platform管理センターから実行します。アップグレードの代わりに、既存のDataverse環境へソリューションとしてエクスポート→インポートする選択肢もあります。
管理者がやること
- Power Platform管理センター → 管理 → 環境 で、種類が Microsoft Teams の環境を絞り込む
- 最終アクティビティの列で、今も使われているものを見つける
- 必要な環境について容量とライセンスを確認し、計画を立てる
- 2027年10月30日までにアップグレード(Copilot Studioのエージェントは専用の手順あり)
- チームのオーナーに変更を事前に周知する
- 不要な環境は何もしなくてよい(2027年10月30日に廃止される)
3. アンマネージド開発者環境の廃止
何が起きるのか
マネージド環境ではない開発者環境が非推奨になります。無料のPower Apps Developer Planにサインアップしたときに自動作成される開発者環境も対象です。
一方で、次のものは対象外です。
- マネージド環境になっている開発者環境
- 環境ルーティングが自動作成する個人用の開発者環境(既定でマネージド)
- 本番、サンドボックス、トライアル、既定の各環境
開発者環境という「種類」自体はなくなりません。今後は「マネージドな開発者環境」としてだけ存在し、1ユーザーにつき1つまでしか作れなくなります(すでに複数持っている人の既存環境は変更されません)。
なぜ廃止するのか
アンマネージドの開発者環境は、Managed Environmentsのポリシー、利用状況の分析、共有制限といった管理者が頼りにしているガバナンスの外側にあります。すべての環境を管理者が把握・制御できるようにしつつ、作る人には個人の作業場を残す、というのが狙いです。
影響:12月15日で「触れなくなる」
- 11月15日以降:Developer Planにサインアップしても環境が作られない。Power Apps、管理センター、PowerShell、Power Platform CLIのいずれからも、新規のアンマネージド開発者環境は作れない
- 12月15日:既存のアンマネージド開発者環境が停止。アプリ、フロー、エージェント、Power Pagesの開発者サイト、データが利用不可に
- 1月15日以降:停止した環境の削除が始まる
12月15日より前にエクスポートしたソリューションは影響を受けません。手元にコピーを取っておくのが最優先の保険です。
管理者がやること
- 管理センター → 管理 → 環境 で、種類 = 開発者 かつ マネージド = いいえ を絞り込む
- 最終アクティビティで、今も使われている環境を見つける
- 必要な環境ごとに、12月15日までに次のどちらかを選ぶ
- ライセンスが適切なら、Managed Environmentsを有効化(マネージド開発者環境に変換)
- ソリューションをサンドボックスなどへ移行
- 作る人に個人の作業場を持たせたいなら、環境ルーティングを有効化する(マネージドな開発者環境が自動作成され、1人1つまで)
- テナント設定の開発者環境の割り当てを見直す
作る人(メーカー)がやること
- 自分の開発者環境のソリューションをエクスポートしてコピーを確保
- 管理者に、マネージド環境への変換または代わりの開発・テスト環境を依頼
- プレミアム機能を試したいだけなら、引き続き使えるスタンダードのトライアル環境を活用
4. ライセンスの話を整理する
今回の変更で一番つまずきやすいのは、ライセンスです。公式の記述を整理するとこうなります。
| 対象 | 何が必要か | ポイント |
|---|---|---|
| アンマネージド開発者環境 → マネージド化 | Managed Environmentsを使う権利 | Power Apps Developer Planには、Managed Environmentsの利用権は含まれない。 スタンドアロンのPower Apps、Power Automate、Copilot Studio、Power Pages、Dynamics 365のライセンスには、Managed Environmentsの権利が含まれる(詳細は公式のライセンスページを参照) |
| マネージド開発者環境でアプリ・フローを実行する人 | プレミアムライセンス | Developer Planだけでは足りない |
| Teams環境 → Dataverseへアップグレード | Dataverse容量+各種ライセンス | 空き容量が環境サイズ以上必要。アップグレード後は、Power Apps/Power Automate/Copilot Studioのライセンスが必要 |
| ライセンスがない場合の代替 | スタンダードのトライアル環境、または他環境への移行 | トライアルの期限が来る前に、残したいソリューションはエクスポート |
要するに、「Teamsや開発者プランの中なら追加コストなしで動いていたもの」が、今後はライセンスと容量の話になるということです。環境の数が多いテナントほど、早めの棚卸しが効いてきます。
5. 以前のTeams環境ガバナンス記事はどう読めばいいか
Microsoft Learnの「Teams環境のガバナンス戦略」は、事後対応型のガバナンス(作成後に利用目的の正当性を申請してもらい、管理者が承認・却下し、未申請や却下の環境を定期的に自動削除する)を推奨しています。削除してしまった環境も7日以内なら復元できる、容量は80%に近づくと通知される(環境の容量は拡張不可)、CoE Starter Kitに実装テンプレートがある、といった内容です。
ただし、このページの最終更新は2025年9月で、今回の廃止の話には触れていません。読み方としては次のイメージが現実的です。
- 2027年の廃止までの間、既存のTeams環境を管理するための運用ガイドとしては今も使える
- ただし新しいTeams環境は11月15日以降つくれなくなるので、新規作成を統制する目的の運用は役割を終えていく
- これからは「Dataverse環境にどう載せ替えるか」が運用設計の中心になる
6. ロードマップ(Microsoft 365)との関係
Microsoft 365ロードマップ(日本語)は「仕事でのAI」が主題で、今回の廃止そのものに当たる項目は、確認できた範囲では見当たりませんでした。廃止の根拠・日付は、Power Platformの「重要な変更(非推奨)」ページが一次情報です。
関連しそうな動きとしては、ロードマップの「近日公開の機能」に、Copilot CoworkとCopilot Studioでのアプリ構築やCopilot Managed Runtimeが載っています。「作る場所はDataverse環境+Teamsに載せる」という流れとは方向感が一致しますが、今回の廃止との直接の関係は公式には書かれていないので、参考情報としてお読みください。
7. 今日から始めるチェックリスト
【すぐに】
- 管理センターで、アンマネージド開発者環境の一覧を出す(種類=開発者、マネージド=いいえ)
- Teams環境の一覧を出す(種類=Microsoft Teams)
- 両方とも最終アクティビティで「今も使われているか」を仕分ける
【12月15日まで】
- 必要な開発者環境を、マネージド化するかソリューション移行するかを決める
- 作る人にソリューションのエクスポートを依頼(コピーの確保)
- 環境ルーティングを有効化するか判断し、開発者環境の割り当て設定を見直す
【2027年10月30日まで】
- 残すTeams環境の容量とライセンスを確認
- Dataverseへアップグレード(または別環境へ移行)
- チームのオーナーへ周知(作成・編集の場所が変わる)
まとめ
- Teams環境は2027/10/30まで、アンマネージド開発者環境は2026/12/15までが、それぞれ「使い続けるか手放すか」の決断のタイミングです。
- 作業の中身は、棚卸し → 必要なものだけ格上げ → 不要なものは放置して消える、というシンプルな流れ。
- ライセンスと容量は、アップグレードや変換の前に必ず確認してください。
参考(一次情報)
- Important changes (deprecations) coming in Power Platform(Dataverse for Teams環境の廃止/アンマネージド開発者環境とDeveloper Planの廃止)
- Establish governance policies to manage Microsoft Dataverse for Teams environments
- Microsoft 365 ロードマップ(仕事での AI)
- Managed Environments licensing
- Upgrade process(Dataverse for Teams → Dataverse)
- Environment routing
あわせて学びたいオンライン講座
Recent Posts