Power Platform の製品の画面に組み込まれていた、AI で「作る」ための機能が、2026 年 11 月 30 日と 12 月 11 日にまとまって終わります。
きっかけは、2026 年 11 月 3 日のメッセージセンター(MC1537406)です。Power Automate で、やりたいことを文章で書くとクラウドフローを作ってくれる「説明して設計する(Describe it to design it)」が、11 月 30 日に終わります。

同じ 11 月 30 日には、Microsoft Copilot の App Builder エージェントと Power Apps Vibe(vibe.powerapps.com)も終わります。12 月 11 日には、キャンバスアプリの Power Apps Ideas(数式の生成)と、Copilot でコントロールの名前を変える機能も終わります。
代わりに Microsoft が案内しているのは、Copilot Cowork や Copilot Studio のエージェントと、GitHub Copilot CLI や Claude Code で使う製品ごとのプラグインです。製品の画面の中にあった AI が、AI エージェントへ移ります。
この記事では、終わる機能と代わりの方法、使ってきた企業がやることを整理します。そのうえで、この流れが何の終わりで、何の始まりなのかを考えます。

終わる機能の一覧
| 製品 | 終わるもの | 終了日 | 代わり |
|---|---|---|---|
| Power Automate | 説明して設計する(MC1537406) | 2026 年 11 月 30 日 | Power Automate プラグイン(GitHub Copilot CLI・Claude Code)、デザイナー、テンプレート |
| Microsoft Copilot | App Builder エージェント(MC1505609) | 2026 年 11 月 30 日 | Copilot Cowork、Copilot Studio のアプリ |
| Power Apps | Power Apps Vibe(vibe.powerapps.com、MC1505609) | 2026 年 11 月 30 日 | Copilot Cowork、Copilot Studio のアプリ |
| Power Apps | プランのコプレゼンス(MC1530697) | 2026 年 11 月 30 日 | 一度に 1 人が編集する(プランそのものは続く) |
| Power Apps | モデル駆動型アプリの「AI で説明を作る」 | 2026 年 11 月 30 日 | 手で書く、AI のコード生成ツールで使うスキル |
| Power Apps | キャンバスアプリの Power Apps Ideas・数式の生成(MC1532421) | 2026 年 12 月 11 日 | 数式バーで直接書く |
| Power Apps | キャンバスアプリの「Copilot でコントロールの名前を変える」(MC1532426) | 2026 年 12 月 11 日 | ツリービューで手で変える |
| Power Pages | 「Copilot で AI のコードを追加」 | 今後のリリースで削除 | Power Pages プラグイン(GitHub Copilot CLI) |
出典は、いずれもドキュメントの「Power Platform の重要な変更(非推奨)」と「Power Pages の重要な変更」です。
変わること・変わらないこと
- 終了日から、これらの機能で新しく作ることができなくなります。
- これまでに作ったフロー・数式・アプリの説明は、消えずにそのまま動きます。
- ただし、App Builder と Vibe のアプリは、11 月 30 日を過ぎると開けなくなります。移行が必要です。
- デザイナーやテンプレートなど、手で作る方法はこれまでどおり使えます。
管理者にお願いしたいこと
社内のマニュアルや研修資料に「まず Copilot に説明して作る」と書いている場合は、終了日までに書き直してください。作成者にも、この変更と代わりの方法を伝えてください。App Builder と Vibe を使っている人には、11 月 30 日までの移行を呼びかけてください。
製品ごとの影響と代わり
Power Automate:説明して設計する → Power Automate プラグイン
11 月 30 日から、言葉で新しいクラウドフローを作れなくなります。作ったフローはそのまま動き、ビジュアルデザイナーとテンプレートも使えます(フローを手動で作成する、テンプレート)。
言葉で作る体験を残したいなら、Power Automate プラグインです。Microsoft は、組織が承認した AI アシスタントで使うよう案内しています。プラグインは Power Platform Skills のマーケットプレイスで公開されていて、FlowAgent の MCP サーバーが入っています(ドキュメント)。
| スキル | コマンド | できること |
|---|---|---|
| セットアップ | /setup |
Node.js、Azure CLI のサインイン、Power Automate への接続を確かめる |
| フローを探す | /browse-flows |
環境とフローを一覧し、作業するフローを選ぶ |
| フローを作る | /create-flow |
トリガー・アクション・接続を確かめながら作る |
| フローを組み立てる | /build-flow |
説明やテンプレートから、フローを丸ごと作る |
| 失敗を調べる | /debug-flow |
失敗した実行のエラーを読み、直し方を示す |
| 深く診断する | /diagnose-flow |
実行の ID を指定して、原因をさらに調べる |
| フローを管理する | /manage-flows |
公開・テスト、一括操作、健全性の確認、一覧のレポート |
| デスクトップフロー | /manage-desktop-flows |
デスクトップフローの一覧・実行、マシングループ |
画面の「説明して設計する」は作るところまででした。プラグインは、作る・直す・失敗を調べる・別の環境へ写す・棚卸しする、までを同じ会話の中で続けられます。
必要なのは、Node.js 18 以上、Azure CLI、GitHub Copilot CLI か Claude Code です。Power Automate と同じ職場のアカウントで Azure CLI にサインインし、プラグインを入れます(Claude Code の例)。
az login --allow-no-subscriptions/plugin marketplace add microsoft/power-platform-skills
/plugin install power-automate@power-platform-skillsあとは、やりたいことを書くだけです。
Project Tasks の SharePoint リストに項目が追加されたら、
Teams にメッセージを投稿するフローを作って。プラグインは、作ったフローを停止した状態で作ります。中身を確かめてから有効にできます。既存のフローを直すときは、変更の前にバックアップを取り、元に戻せます。
AI が作ったものは必ず確かめる
ドキュメントでも、AI が作る定義や変更は不正確なことがある、と明記されています。権限・ライセンス・コネクタのポリシー(DLP)は、サインインした人の権限で強制されます。まずテスト環境で試してください。
Microsoft Copilot・Power Apps:App Builder と Vibe → Copilot Cowork・Copilot Studio
App Builder エージェントと Power Apps Vibe で作ったアプリを開けるのは、11 月 30 日までです。Copilot Cowork か、Copilot Studio のアプリへ移します。どちらも、エージェントと話してアプリを作り、直していく体験です。
| 移すもの | 方法 |
|---|---|
| App Builder のアプリ | ワンクリックの移行(「Migrate app」)が 11 月 4 日から順に使えるようになります。まだ出ていなければ、ソースコードを落として作り直す手動の移行も使えます(移行の手順) |
| Vibe のアプリ | ソースコードを落とし、Copilot Cowork か Copilot Studio のエージェントに渡して作り直します(移行の手順) |
移行は「作り直し」
移行は、アプリを動かすのではなく、ソースコードから作り直す方式です。データ(SharePoint のリストや Dataverse のテーブル)はそのまま残りますが、共有やリンクは引き継がれません。新しいアプリが動くと確かめるまで、元のアプリは残しておいてください。
Power Apps:キャンバスアプリ・モデル駆動型アプリ・プラン
- Power Apps Ideas・数式の生成(12 月 11 日):言葉やコードのコメントから Power Fx を作れなくなります。作った数式はそのままです。「この数式を説明」「この選択を説明」は使い続けられます。
- Copilot でコントロールの名前を変える(12 月 11 日):名前の提案と一括の変更がなくなります。ツリービューで名前を変えれば、参照は自動で直ります。
- モデル駆動型アプリの「AI で説明を作る」(11 月 30 日):説明は手で書きます。AI で作るなら、AI のコード生成ツールでモデル駆動型アプリを作る方法が案内されています。
- プランのコプレゼンス(11 月 30 日):ほかの作成者の在席が見えなくなります。プランそのものは使い続けられます。一度に 1 人だけが編集するよう、プランの外で調整します。
キャンバスアプリも、AI のコード生成ツールで作って直す方法が用意されています。
Power Pages:Copilot のコード生成 → Power Pages プラグイン
Visual Studio Code の Power Platform Tools にあった「Copilot で AI のコードを追加」は、今後のリリースで削除されます。HTML・JavaScript・CSS・Liquid のコードを AI に手伝わせるなら、Power Pages プラグインを使います。
これらの機能を使ってきた企業へ

「説明して設計する」や App Builder、Power Apps Ideas は、プログラミングをしない現場の人が、初めてのフローやアプリを作るきっかけとして広く使われてきました。研修の最初の 1 時間で「Copilot に話しかけるとできあがる」体験を見せてきた企業も多いはずです。
その入り口が、製品の画面からなくなります。とはいえ、慌てる必要はありません。作ったフローや数式は動き続けます。やることは次の 4 つです。
- 棚卸し:これらの機能を前提にした手引き・研修・社内ポータルを洗い出します。
- App Builder と Vibe のアプリを移す:11 月 30 日を過ぎると開けなくなります。ここだけは期限が厳しいので、先に手を付けます。
- 入り口を分ける:業務の人は Copilot Cowork・Copilot Studio、デザイナー、テンプレート。開発を担う人は GitHub Copilot CLI や Claude Code とプラグイン、と役割で分けます。
- AI アシスタントを承認する:GitHub Copilot CLI や Claude Code を、組織として使ってよい道具に決めます。ここが決まらないと、開発を担う人が言葉で作る手段がなくなります。
4 つ目が、いちばん大事です。Microsoft の案内は「組織が承認した AI アシスタントで」使うことを前提にしています。つまり、AI のコーディングエージェントを会社の標準の道具として認めるかが、問われています。
一つの時代の終わり
この発表を、いくつかの機能の終了とだけ読むのは、もったいないと考えています。
Power Platform では、ここ 1 年ほどで、製品の画面の中に置かれていた「作るための AI の入り口」が、続けて役目を終えてきました。
並べると、行き先は 2 つに分かれます。
- 業務の人が言葉で作るなら、Copilot Cowork や Copilot Studio の中で、エージェントと話して作ります(App Builder・Vibe の行き先)。
- 開発を担う人が作るなら、GitHub Copilot CLI や Claude Code に、製品ごとのプラグインやスキルを入れて作ります(Power Automate・Power Apps・Power Pages の行き先)。
どちらも、行き先は「エージェント」です。製品の画面ごとに小さな AI のボタンを置くのをやめ、作る仕事をエージェントに集めています。プランのコプレゼンスが終わるのも、同じ画面を何人かで囲んで作るより、エージェントと作った成果をソースとレビューで共有するほうへ、重心が移っていることの表れだと考えています(プランそのものは続きます)。
flowchart LR
subgraph これまで
A[作成者] --> B[製品ごとの画面]
B --> C[画面の中の Copilot<br/>説明して設計する・Ideas など]
C --> D[フロー・数式・アプリ]
end
subgraph これから
E[業務の人] --> F[Copilot Cowork / Copilot Studio]
J[開発を担う人] --> K[GitHub Copilot CLI / Claude Code<br/>+プラグイン・スキル・MCP]
F --> H[アプリ・エージェント]
K --> L[フロー・アプリ・サイト・テーブル]
K --> I[Git・テスト・レビュー]
end
終わるのは、「GUI の中に AI を足す」時代です。始まるのは、「AI エージェントが、ソースと同じやり方でシステムを作る」時代です。
画面の中の AI は、その画面で作れるものしか作れません。エージェントは、フローもアプリもテーブルもサイトもまとめて扱い、Git で履歴を残し、テストし、別の環境へ配置できます。ローコードが、プロの開発と同じ道具立てに合流しはじめています。
AI ファースト開発標準が当たり前になる
ここで効いてくるのが、このブログで書いてきた AI ファースト開発標準です。AI に作らせることを前提に、手順・決まりごと・確かめ方を先に決めておく考え方です。
AI ファースト開発標準で始める Code Apps 開発 ― 外注費の削減を内製で実現する手法(2026 年 10 月版)GitHub で公開している AI ファースト開発標準を、2026 年 10 月の内容で解説します。「クイックスタートして」から始める開発の流れ、27 のスキルと 20 の業務サンプル、管理者と開発者の準備、AI CoE が自社の標準として持つ方法を、外注費の削減・Code Apps とのつながりとあわせて図で紹介します。
エージェントで言葉からフローやアプリを作れるのは便利です。ただし、決まりがないまま全員が AI に作らせると、命名も、接続の持ち主も、エラー処理も、画面の作りも、人ごとにばらばらになります。画面の中の機能なら、製品の側である程度そろっていました。エージェントは自由度が高いぶん、そろえるのは組織の仕事になります。
AI ファースト開発標準で、最低限決めておきたいのは次のことです。
- どの AI エージェントを使うか:業務の人は Copilot Cowork・Copilot Studio、開発を担う人は GitHub Copilot CLI か Claude Code。承認の手続きと、使える人。
- どのプラグイン・スキルを入れるか:Power Platform Skills のマーケットプレイスと、社内のスキル。
- どこで作るか:開発・テスト・本番の環境と、AI が触ってよい範囲。
- 何を確かめるか:AI が作ったフローやアプリのレビュー、テスト、公開する前の確認。
- どう残すか:ソリューションと Git での管理、変更の記録。

エージェントに決まりごとを守らせる仕組みが「ハーネス」です。決まりを文章で配るだけでなく、エージェントが読み込む形にしておくことで、誰が作っても同じ品質に近づきます。
なぜ今、AI に「ハーネス」が必要なのか最近、Copilot Studio や AI エージェントの解説をしていると、「ハーネスとは何ですか?」という質問をよくいただきます。 名称の変更(2026 年 10 月 28 日…
GUI を使わずに、GitHub Copilot で Copilot Studio・Power Apps(Code Apps)・Dataverse を作る方法は、こちらにまとめています。今回のプラグインも、同じ流れの中にあります。
基本的に Power Apps ポータルなどのGUIを使わずに GitHub Copilot で Copilot Studio と Power Apps (Code Apps)、Dataverse を開発する方法今の開発の方法:AI ファースト開発標準をもとにした、概要・環境準備・使い方です。 何を作ると効果が出るか:買っている SaaS を Code Apps で作り直す「SaaS 製造…
道具の使い分け(GitHub Copilot・Copilot Cowork・Copilot Studio・Agent Builder)は、こちらです。
GitHub Copilot・Cowork・Copilot Studio・Agent Builder の使い分け ― ユースケース × インパクトのロングテールで考える「どれを使えばいいのか」は、ユースケースの数とインパクトのロングテールで考えると整理できます。少数で大きな効果を出す GitHub Copilot と Code Apps、個人の仕事を任せる Cowork、組織で共有する Copilot Studio、少量多品種の Agent Builder。判断の分かれ目をまとめます。
まとめ
- Power Platform の画面に組み込まれた AI の作成機能が、2026 年 11 月 30 日と 12 月 11 日にまとまって終わります。作ったフローや数式はそのまま動きます。
- Power Automate の「説明して設計する」の代わりは、GitHub Copilot CLI や Claude Code の Power Automate プラグインです。作るだけでなく、直す・調べる・管理するまで続けられます。
- App Builder と Power Apps Vibe のアプリは、11 月 30 日までに Copilot Cowork か Copilot Studio へ移してください。期限を過ぎると開けなくなります。
- キャンバスアプリの数式の生成と名前の提案は 12 月 11 日に終わります。プランのコプレゼンスは終わりますが、プランは続きます。
- 使ってきた企業は、手引きを直し、入り口を役割で分け、AI アシスタントを組織として承認してください。
- この流れは、「画面の中の AI」から「AI エージェントで作る」時代への切り替わりです。これから先は、AI ファースト開発標準を持っている組織ほど、速く、そろった品質で作れるようになります。
最初の期限は 2026 年 11 月 30 日です。手引きの書き直しと合わせて、自社の AI ファースト開発標準を見直すきっかけにしてみてください。
メルマガで新しい記事を受け取る
新しい記事や講座のお知らせを、メールでお届けします。いつでも配信を停止できます。
ご登録いただいたアドレスは、メルマガの配信にだけ使います。
あわせて学びたいオンライン講座
どの講座から始めればよいか、学ぶ順番をまとめています。





コメントを残す