Blogへの投稿が大変遅くなってしまいましたが、2019年4月までのMicrosoft Business Applications (Dynamics 365, Power Platform) の更新情報について、気になる点をピックアップして紹介させていただきます。
目次
Finance and Operations
財務会計
Revenue recognition(IFRS15/ASC のTopic 606対応):2019年7月一般提供予定
収益認識基準はIFRS 15号(2018/1/1)よりすでに適用されている会計制度ですが、これまではFOとしては一部運用対処で対応する必要がありました。
本アップデートにより、Revenue managementのワークスペースが提供され、出荷基準などの売上の発生タイミングをコントロールできるようになります。
Automatic ledger settlements:2019年8月~10月
事前設定したフィルター条件で自動的に借方/貸方トランザクションを決済済みとしてマークするルールを作成できるようになりました。手動でも決済可能ですが、内部バッチで処理することもできるようになります。
製造
Master planning stability and recovery improvements:2019年3月(リリース済み)
例外処理が発生した際のMRPの自動リスタート機能です。
Planning service:2019年7月
MRP機能をマイクロサービスとして提供されるようになります。クラウドサービスの良さを活かして、大規模なリソースをその“マイクロサービスMRP”に割り当てており、高速に処理させるという概念のようです。
Improved removal of obsolete planning data:2019年3月(リリース済み)
MRP失敗時に発生した不要なデータを削除する機能がエンハンスされます。
販売及び調達
Simplified view – template:リリース時期未定
パーソナライズ機能でUIを複数保存できるようになりますが、そのビューのテンプレートとして簡易ビューが提供され、ユーザにとって使いやすいUIが提供されUXの改善が図られます。
開発
Electronic reporting – Generate documents in PDF format by filling in PDF templates:2019年3月提供済み
書き込み可能なPDF(Fillable PDF)をアップロードすることでその構造を認識してデザインを作成してくれるというElectronic reportingの機能が追加されます。既存フィールドとのマッピングは手動です。
Business Events for integrations:2019年6月
これまでDynamicsを外部システム向けのトリガーとして利用することは標準機能では対応出来なかったのですが、Business Eventというエンハンスにて対応できるようになります。FOにて発生したイベントをMicrosoft FlowやLogic Appsに連携することができるようになります。
Entity store in your own Business Data Lake:2019年6月 パブリックプレビュー提供予定
OLAPにおけるキューブであるEntity storeをAzure Data Lakeにエクスポートすることができる機能が提供されます。本DBに様々なデータをマッシュアップすることでPower BI Proなどを接続し高度な分析に利用することなどが期待されるかと思います。ちなみにAzure Database ServiceにOLTPをエクスポートする機能はすでに提供されています。
Finance and Operations data in Common Data Service:2019年6月 パブリックプレビュー提供予定
CDSにFOのデータが連携されることで、CDS上にPowerAppsを接続してオリジナルのアプリケーションを作成することや、双方向にデータを入出力できるサービスを構築できるようになる予定です。
Platform
中国リージョン:2019年4月
一般提供開始されました。ただ、中国のOffice 365と同じくPowerAppsが利用できないなどの制限があります。
Customer Engagement
Sales
Microsoft Teams integration:2019年4月パブリックプレビュー提供済み
Skype for BusinessはTeamsに移植されていくロードマップがありますが、Dynamics 365 for Customer Engagementにおいても、Teamsを主とする動きが加速しています。
Salesの製造業での使われ方は設計部や品証部との連携による提案技術支援、製造部門との生産計画などに関する情報連携などで仮想チームを作って案件対応する姿が想定されるかと思います。
TeamsであればOneDriveを活用しながら図面見たり、次回の設計部門のアテンドを簡単に依頼したりと色々用途が浮かびます。
Customer Service
Live chat channel:2019年7月
Live chat、SMSでの問い合わせの受付をBotで対応するサービスを簡単に実現する機能です。
現時点でBot機能のCustomer Engagementとの連携は、GitHubでソースコード見ながらC#/JavaScriptを使ってスクラッチで開発する形式です。
導入はベンダーに依頼すれば実現可能ですが、頻繁にBotにしゃべらせる内容をアップデートして改善したいという要望が当然あるかと思います。
今回アップデートにより本運用面での問題を改善する可能性があります。
Field Service
Embedded IoT Visualization:2019年7月パブリックプレビュー
IoTの異常検知からケース作成というのはこれまでの機能でありましたが、その理由/ヒストリカルチャートは自前でレポート作る必要がありましたが、標準レポートが提供されるようになります。
Device commands:2019年6月
また、FlowとのIntegrationでIoT CentralへコマンドをD365のUIからプッシュすることも可能になります。以下はデバイスのファンのスイッチをOnにする、というコマンドを示しています。(PowerAppsのモデル駆動型アプリで画面を作る感じですね)
Power Platform
PowerApps
Access Common Data Service data in offline mode for Customer Engagement apps on mobile:2019年4月パブリックプレビュー提供済み
モデル駆動型アプリについては、オフラインモード対応が実装されました。Field serviceモバイル機能など色々出張系のアプリをPowerAppsのプラットフォームを使って自前で構築した際にも、オフラインでCDSのデータを活用できます。
Flow
Extract structured data from emails, HTML, and PDF: 2019年6月パブリックプレビュー
メール、PDF、HTMLから構造データを抽出して起動する機能が提供されます。定型的な通知メールからシステムを再起動させるとか、コネクターの用意されていないHTML上のTableとかの変更をフォローさせ為替データの変更をシステムに反映させるなどに使えそうです。
以上
ご参考になれば幸いです。