2024年2月のライセンスガイドにはAI Builder のGPTプロンプトの機能である、テキストを作成する というアクションのクレジットがいくらになるかという表記が記載されました。
2024年12月時点の情報で更新しました。GPT 4o Mini に対応しています。
目次
Power Platform ライセンスガイド
ダウンロード
最新のライセンスガイドのダウンロードはこちらから可能です。
最新の情報はこちらを参考にしてくださいね。
AI Builder クレジット消費レート表
ライセンスガイド公式情報
公式のライセンスガイドには以下のように比較表が記載されています。
AI プロンプトでは、Power Apps からでも、Power Automate からもインターフェイスは関係なくGPT 4o Mini の場合、インプットには1クレジット、アウトプットには3クレジットが1000トークン(1k)ごとに消費されます。
GPT-4o の場合、その20倍の消費量になっています。
実際のトークン数で消費されます。「実際の消費レポートを確認してみる」セクションをご確認ください。
Azure OpenAI Service の費用と比較してみる
コレがどれぐらいの費用感なのか理解するために、Azure OpenAI Service (AOAI)の費用と比べてみます。
前提条件
- 米国東部リージョンを参考にしています。
Azure OpenAI Service – 価格 | Microsoft Azure - AI Builder はアドオンライセンス の2024/02/17時点の価格。1,000,000クレジット = $500 を参考に 0.0005/クレジット と単位として計算しています。
Power Apps ライセンス、価格、およびユーザー プラン | Microsoft Power Apps
比較表
GPT 4o Mini に関する価格の比較表を作成してみました。
分類 | モデル | コンテキスト | インプット (1,000,000 トークンあたり) | アウトプット (1,000,000 トークンあたり) |
---|---|---|---|---|
AI Builder | GPT 4o Mini | 128K | $0.5 | $1.5 |
AOAI | GPT 4o Mini Global | 128K | $0.15 | $0.6 |
こちらはGPT 4o での比較表です。
分類 | モデル | コンテキスト | インプット (1,000,000 トークンあたり) | アウトプット (1,000,000 トークンあたり) |
---|---|---|---|---|
AI Builder | GPT 4o | 128K | $10 | $30 |
AOAI | GPT-4o グローバルデプロイ | 128K | $5 | $15 |
現時点、概ね以下のような比較結果になります。
モデル | 価格比較結果 | 説明 |
---|---|---|
GPT-3.5-Turbo | AI Builder > AOAI | AI Builder のほうが高い。 インプット、アウトプットともに2倍の価格。 |
GPT 4o | AI Builder > AOAI | AI Builder のほうが高い。 インプット、アウトプットともに2倍の価格。 |
費用を比較するうえでのポイント
GPT 4o Mini, GPT 4oの場合、現時点ではAI Builder の価格はAOAIに比べて高いです。およそ約2倍の価格に設定されています。ただ、ちょっと待ってください!AI Builder を利用することには以下のようなメリットがあります。
1. AI Builder にはインフラ、セキュリティコストが含まれている
もし、Power Platform からAzure のサービスであるAOAI に接続する場合、どのように接続するかを検討する必要があります。
例えばオンプレミスデータゲートウェイを経由して接続する必要があるとなった場合、安全性のため、オンプレミスデータゲートウェイは冗長構成を取る事が推奨されています。複数のVMを構成するのかどうかも検討する必要がありますし、そのVMの消費コストも発生します。
オンプレミス データ ゲートウェイとは | Microsoft Learn
上記の図は説明のために簡素化しています。実際にはAzure OpenAI Service は仮想ネットワーク上にあるのではなくサービスとして展開されます。API Management によって特定の仮想ネットワークからのアクセスのみを許可している構成のイメージとしてお考えください。
プライベート接続に関しては、サブネット委任の機能も提供されました。こちらを用いたプライベートネットワーク接続も利用できるようになっております。こちらも合わせてご利用ください。
2. AI Builder には保守運用コストが含まれている
接続を考えてインフラまで構成するということは、そのお守りまで考えないといけないということです。
上記のようにオンプレミスデータゲートウェイまで設置して運用するということは、サーバーがダウンしていないか、CPU使用率に問題がないか、OSのアップデートを行えているか、などのインフラの運用作業が必要になります。
AI Builder の場合、それをアウトソースできるため管理者目線では考えなくて良い、費用が含まれていることになります。
「考えないでいい、任せられる」という方が個人的には精神的な負荷が少なく良いなと思います。
3. Power Apps Premium ユーザーライセンス等にクレジットが付帯してくる
最後にポイントとなるのは、Power Apps Premium のユーザーライセンスにもAI Builder のクレジットが付帯しているということです。範囲を超えない利用の場合、AI Builder アドオンライセンス無しでOKということになりますので、例えば:
すでにPower Apps Premium ライセンスが1,000ライセンスあると、1ユーザーライセンス当たり500クレジットが付帯しますので500,000クレジットが組織にはプールされていることになります。
無料付帯分のクレジットだけで処理できるOCR2GPT の枚数を概算してみる
OCR2GPTのシナリオでは、請求書処理にOCRに3クレジット、AIプロンプトに大体8〜16クレジット使います(GPT 3.5 Turboの場合)。これから概算して平均1ページあたり16クレジット消費する(OCR 3+GPT 13クレジット)とします。
例えばPower Apps Premium に付帯するクレジットとして500,000 クレジットがプールされている場合、500,0000クレジット÷16クレジット = 3万ページ/月を付帯分だけで処理できることになります(正確には31,250ページ)。
クレジットは次の月に持ち越しできないので、もし余っている場合はある意味無料でGPTを使える余地があるということです。
どのライセンスにどれだけAI Builder が付帯しているかというと、こちらの通りです。
これを見ると、Power Automate Premium ってすごくお得に感じます。もし、AI Builder アドオン $500 を購入するならPower Automate Premium $15 を33ユーザー分($495)購入して、165,000クレジット付帯する方がお得感あります。165000クレジット分あれば、OCR2GPTのシナリオ(25クレジット/1ページとして)にて6600ページが処理できる計算になります。
ライセンス名称 | 1ライセンスあたりの付帯クレジット | テナントあたりの累積クレジットの上限 (これ以上は付帯されない) |
---|---|---|
AI Builder アドオン (T1、T2、T3) | 1,000,000 | ありません。 |
Power Apps Premium | 500 | 1,000,000 |
アプリごとの Power Apps | 250 | 1,000,000 ※2022 年 11 月より前に購入したアプリごとのライセンスにはクレジットは含まれません。 |
Power Automate Premium | 5,000 | 1,000,000 |
Power Automate プロセス | 5,000 | 1,000,000 |
Power Automateホスト型 RPA アドオン | 5,000 | 1,000,000 |
Power Automate 非アテンド型 RPA アドオン | 5,000 | 1,000,000 |
Dynamics 365 F&O | 20,000 | 20,000 |
AI Builder ライセンスとクレジットの管理 | Microsoft Learn
AI Builder のモデルごとに消費するクレジットの計算を行うツールがこちらに提供されています。
AI Builder 計算ツール | Microsoft Power Apps
AI Builder AIプロンプトはいい事づくし?
そういうわけでもなく、サービスとして提供されているため制限はあります。
1. 利用できるモデルが制限されている
現在、利用できるモデルはGPT-3.5-Turbo 、GPT 4oです。o1を使いたいなどといったケースではAOAIを利用するとよいでしょう。
2. チャット形式などmessageの配列を扱いたい時
AI Builder AI プロンプトでの返答はcontent のみ返ってきます。通常純粋なAOAI では配列形式で返ってくる応答に過去の履歴を含ませて作成することが出来ますが、AI Builder では以下の変更内容のうち、content の部分しか返してくれません。
そのため、過去の会話履歴を持たせてチャットアプリなどを作りたいときは工夫が必要でしょう。
[
{
"role": "system",
"content": "You are an AI assistant that helps people find information."
},
{
"role": "user",
"content": "こんにちは!"
},
{
"role": "assistant",
"content": "こんにちは!どのようにお手伝いしましょうか?"
}
]
3. AOAI のPTUがある
プロビジョニング スループット ユニット (PTU) という購入形式があり、前もって利用するAOAI のリソースを購入しているケースがあります。逆に言うとこちらを利用しないともったいないです。
Azure OpenAI Service プロビジョニング スループット ユニット (PTU) のオンボード – Azure AI services | Microsoft Learn
そのため上記を考えてご利用シーンに合わせて選択するとよいでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
おまけ: 実際の消費レポートを確認してみる
実際は2クレジットずつカウントされているわけではなく、細かくカウントされています。実際の消費を見てみると、2刻みになっていないことがわかります。
AI Builder の活動にて確認することが出来ます。
モデルのアクティビティを監視する (プレビュー) | Microsoft Learn
他にもAI Builder の消費レポートにて確認できます。
AI Builder 消費レポート – AI Builder | Microsoft Lear